春田 康吏 公式ブログ

知多半島(愛知県大府市)から気管切開してる人が発信しています

タグ: 創作童話

「えー、それではよろしいでしょうか。今回、新商品の企画提案をさせてもらいます藤本あつしと言います。初めてなもので、どうぞお手柔らかにお願いします」そう言うと、会議室全体から、かすかな笑いが起きた。
山下課長が、そんなのはいいから。といった感じで、まばたきをした。
早く次に進めということだろう。
私は、電気を消すように同僚に合図をすると、天井から吊るしてある大きな白いスクリーンを見た。
「今回、提案させていただきます新商品チョコミラクルは、小学校高学年をターゲットとした……」
説明するごとに、用意しておいた画面を白いスクリーンに映していく。
私が製菓会社に入社した理由は、二つある。
一つは、子どもが好きだから。
もちろん、お菓子は子どもだけが食べるものではない。
しかし私は、昔からあるロングセラーのお菓子を食べると、子どもの頃を思い出す。
そんなお菓子を私も作ってみたいと思っている。
そしてもう一つは、あの頃のことを忘れたくなかったから…… 続きを読む

チリン、チリン、チリン
大学生の潤さんは、緑に囲まれた小さな図書館に自転車で通っています。
丘の上にあるので、坂道を上っていかなくてはならないのですが、
潤さんはこの道のりがとても気に入っています。
それは周りの木々から通り抜けてくる風が、とても心地良く感じるからです。
赤レンガで作られた古い図書館ですが、ここにはいろんな人が訪れます。 続きを読む

 雄太には、もうすぐ弟か妹が出来る。
パパやママは毎日のように、今度は男かな女かなとか着せる服はどうしようかとかすごく楽しそうに話している。
「雄太、こっちに来てママのお腹をさわってごらん」パパはそう言ったけどぼくは、
「いい!」と言って突っぱねた。
でもパパはそれ以上、何も言うことなくママのお腹に耳を当てて、
「あっ、また動いた。よく動くからやっぱり男かな…」とつぶやいた。
そんなやりとりが、ここ最近ずっと続いている。 続きを読む

 健ちゃんは、幼稚園に通う元気な男の子です。でも目が見えません。
ある晴れた秋の日、健ちゃんの家にいとこのお兄さんがやって来ました。
「こんにちは。」目は見えない健ちゃんですが、耳は他の誰よりも良いのです。
「お母さーん、お兄ちゃん来たよー。」
「はいはい。あら久しぶり、中に入って。」
「おじゃまします。」そう言うと、お兄さんは奥の方に入っていきました。
向こうから、お母さんとの話し声が聞こえてきます。
健ちゃんは壁伝いに部屋に行き、おもちゃの車で遊んでいましたが、
しばらくすると、お母さんとお兄さんがやって来て言いました。
「健ちゃん、一緒に海にでも行こうか。」
「えっ?ほんと?やったあ。」健ちゃんは飛びはねながら大きな声で言いました。 続きを読む

 ある夜空がきれいな日のことでした。
小さなお星様はとなりのお星様にささやきました。
「ねえ、そろそろ向こうの方に行ってみたいんだけどいいよね」
「もう?こないだここに来たばかりじゃない」
「だって、ここ飽きちゃったんだもん」
「もうあなたってば、すぐ動きたがるんだから。でも大丈夫かしら?」
「どうして?」
「だってこの間、ここから思いっきり走っちゃった人がいたって、ある人から聞いたんだけど、その人大変なことになったのよ」
「大変なこと?どうなったの」 続きを読む

 日曜日、僕は家族の誰よりも早く起きる。
でも今日の日曜日はいつもと少し違っていた。
服に着替えて、玄関でくつを履くところまではいつもと一緒だったのに、そっと扉を開けてみると、
「な、な、なんだー!」何と道路が川のようになっていた。
台風が来るとか激しい雨が降るなんて聞いてないぞ。
でも、雨が降ったあとの泥水とかではなく、その水は透明ですごくきれいでキラキラと光っていた。 続きを読む

 明日、私はこの町を引っ越す。今日は学校で私のお別れ会があった。
一番仲良しだったユウちゃん。
私が教科書を忘れた時、見せてくれたサッちゃん。
給食に嫌いな物が出た時ペロッと食べてくれたタカシ…
私、花束もらった時泣いちゃったっけな。
でも私はたった一つだけ気になってることがある。
それは、一番仲良しだったユウちゃんのこと。
実は、ちょっとしたことで言い合いになってケンカしちゃったんだ。 続きを読む

 外はいつの間にかあたたかくなり、桜の花も満開になったこの日、健ちゃんは何だか落ち着かなくそわそわしていました。
だって明日は、健ちゃんが通う幼稚園の入園式なのです。
お母さんは、健ちゃんが元気よく幼稚園に行って、たくさんのお友達と遊んでくれたらいいなあ。と思っています。
でも、その健ちゃんは心配屋さんなので、どんな所かなあ、怖い人はいるのかなあ、とかいろいろ思っているようです。
そんな健ちゃんを見てお母さんも少し心配そうにしています。

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